中国茶の茶器と選び方 |
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1.茶壺の選び方 |
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はじめに 紫砂の茶壺は中国茶をはじめたころ、買ってみたくなる茶器の代表ですが、やがて便利な蓋碗を使うようになります。お茶のことが分かりはじめたころに、好みのお茶や自分のフィーリング合った淹れかたがしたくなり、また茶壺が欲しくなってくるものです。 しかし中国茶の紫砂の茶壺の情報はきわめて少なく、専門店や詳しい人も日本では限られます。 ここに紫砂茶壺を仕入れてきた経験から得た情報を未熟ながら公開します。 中国での茶壺の情報はまず、茶壺の生産者によるものが最も信頼のおけるものと思われますが これらの情報にある茶の種類はきわめて少なく茶の性質の描写は画一的です。中国宜興の人の飲茶によるものでしょう。 また、茶の販売関係者やマニアックな茶人からの情報は茶壺の専門家ではなく、はたして本人の紫泥や朱泥などという認識の程度や茶もどのレベルの茶のことを言っているのか疑問でもあり、お互いに見解の異なることもありますが、根気よく傾聴しておりますとなんとなく分かってきます。 この解説は工事中です。とりあえず、紹介→急須による緑茶成分の変化(食品分析開発センター) |
これが紫砂石 |
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バースデーケーキと紫砂石ロウソクが関係します。下は青灰泥で安いので大きな塊をもらいました。しかし、2年くらいでバラバラになってしまいました。紫砂石のまわりにロウソクを立てているとバラバラにならないそうです。宜興紫砂の特徴はかならず鉄分が含まれています。鉄分の酸化による膨張を消すために窒素封入と同じ目的でロウソクを立てているのでしょう。 左が七彩紫泥、その下がピン紫泥で高いので少しだけもらいました。いずれも水をかけると、シュッと音がするように水を吸い込みます。これが紫砂茶壺の性質の源です。これらの紫砂石は家族が宜興で茶壺を生産している茶壺専門店でもらったものです。 紫砂泥の焼成中に発生する色彩変化は無限です。紫砂泥は紫泥、紅泥、本山緑泥の三種類を紫砂泥と総称します。紫、紅、黄の三種類の基泥は鉱山区、鉱層が異なります。三種の泥料は単独で、あるいはお互いに配合して異なる色調を造りだすことができます。 加工工程の相違、および窯焼時温度などの各種の要因で、その色の変化はめまぐるしく微妙で、天然自然の物より勝ります。厳格な加工と工程管理により、ようやく彩りが鮮やかなさまざまな彩色の土を創出することができます。 この技法は様々な方法があります。 宜興紫砂壺は朱泥、紅泥、紫泥、緑、緞、黒鉄砂などに総称されます。 |
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段泥の石瓢壺、同じ土ですが焼成温度は左が10℃高いです、10℃の違いで色の濃淡に変化がでます。 |
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紫砂泥の秘密 |
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宜興紫砂壺関係者より画像提供 |
紫砂泥の特性宜興紫砂は堆積型陶土に属して、可塑性指数は10.47〜17.5の間にあります。その鉱物の組成は石英・雲母・鉄に富む粘土です。紫砂泥の粘土の鉱物の含有量は 70% を占めて、伊利石(illite ilerite)、高嶺石(kaolinite)が主です。 少ない乾燥で焼成収縮と広範囲の焼成に比べて、紫砂泥に良好な可塑性、生素地のわりに高い機械強度を与え、宜興紫砂に独特な手作業の技巧のための、良好な前提条件を提供しました。 晒泥と陳腐晒泥:採掘した紫砂泥鉱を露天にさらし、日光と風雨にさらします。採掘したての紫砂泥鉱は性質が硬く荒いので露天にさらします。日光と風雨にさらして自然に風化して崩れるのを待ちます。風化の時間は長ければ長いほど良い。陳腐:採掘後の紫砂泥鉱の晒泥の後、ひき臼で砕き、すりつぶした粉を収集し、ふるいにかけます、水を加えて攪拌します。真空練泥機により仕上げます。 紫砂泥鉱が精錬熟精した後に、日陰で湿ったところに放置して、必ず温度と湿度を維持して、乾燥を防ぎます。湿泥が陳腐を経て腐泥になります。水分を平均的に分布させて、泥料は腐化(醸成)して、有機物質は分解して ねばりのある膠質が発生します。このような方法が「養土」です。 養土:可塑性(弾性)を高めることができ、茶壺を成型する過程で生素地を陰干しする時に ヒビ が入るのを防ぎ、茶壺が焼きあがった後に表皮の結晶がやさしく、使い込んで日が経つにつれて、しだいに頭角を現す養成変化(養壺)は非常に大きいです。 壺身泥の団結構造鎖状気孔 白色底空隙鎖状気 団粒内部の気孔 団粒の本体の表面は気孔があって、団粒の内部も気孔があります |
宜興紫砂壺関係者より画像提供 |
本式の紫砂壺の製法中国の紫砂壺には型による量産品と本式の手造り品があります。本式の製法の一部を紹介します。左のは茶壺の胴に使う長方形と蓋と底に使う丸い粘土の板などがあります。これらは叩いて鍛えて延ばしたものです。胴に使う長方形の板に刻印をしています。下左は板を曲げて筒にしてロクロを使って整形しています。このとき粘土の板の内側の表面は圧縮されて細かい皺が発生します。表側は型による量産品ともに磨いて仕上げますのでうまく処理しますと見分けはつきにくいです。 下の朱泥の画像の右側の内側には自然な皺があります。型による量産品の内側には表情はありません。(高級品ほど品のある皺が確認できますが、ハッキリとしないタイプでも底と胴の部材は接合されていますので、その付近から胴へ立ち上がるところは確認しやすいです。) 飲茶の店の棚に飾られた茶壺を手にとって外見は同じに見えるのに、こちらのものの値段は高いですと店の人が言ったとしましょう。その茶壺の内側にこの皺があった場合はその店の人は正直な人です。 胴部の部材に刻印をしてから曲げて造る製法により、完成品の茶壺の内側に印章を表します。型による整形後では刻印ができないので、本式の手造り品であることを現す手法です。左下の茶壺内側がそれです。 手造り品は胴部の部材を丸めて接合した跡が茶壺内側に縦の筋として形跡が残っているものもあります。 |
宜興紫砂壺関係者より画像提供 |
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型による量産品の破断面 本式の手造り品の破断面 証書 |
手造りの茶壺と型による量産品に本質的な違いは‥‥左上は型による量産品の破断面です。花瓶のような割れ方をしています。破断面も磁器に近く平坦です。左下は工芸美術師による手造りの茶壺の破断面です。表層は細かく緻密で内側はふかふかとして柔らかく、中間層は堅い砂粒骨質を形成して紫砂特有の良好な透気性能を保持します。手造りの茶壺は繰り返し叩いて成型され焼成後、壺の表面はやさしい質感と明快な光沢を現します。壺の内壁は鉱物の構造が砂粒体積隙間空間を形成するため、内透外吸の本性機能の紫砂の特有の性質を現します。 型による製法では泥質はバランス、同一性ともにとても大きい破壊を受け、内、外壁は立体性構造分層に不足して焼成後に表面質感の効果を失い、壺壁の吸透率は60%以上失います。最も大きいことは使い込んでも養壺の効果はなく、むしろ暗い感じの中古品にしかなりません。
福建の花鳥市場の茶壺専門店で手造りの茶壺を買い求めたとき、通りから見える飾り棚のある部屋とは別の奥にある薄暗い部屋にとおされました。茶壺は鍵のかかったロッカー内に保管されていました。価格差ががそれほどあるのです。 |
大地は土仕入れに上海に滞在したときの、リニアモーターカー で直結の新都心補東にあるビジネスホテルでのこと、フロントに置かれた盆栽にハットしました。画像は取引のある農場の借用です。この鉢はプラスチックの安物のようです。空港への鉄道やコンビニなどの人工的な機能優先のものばかりに囲まれていますと、素焼きの通気性のある鉢と土には癒されます。小さな鉢で上の木は何だったか憶えてはいないけれど、小物で鉢や土を引き立てる脇役だったのでしょう。 ビジネスホテルの床は白く、壁も天井も白い機能優先の新建材です。私たちの心身は無意識に通気性の無い人工的なものを拒否しているのかもしれません。中国でも一般のマンションはこの種の床ですが、金持ちは今も昔も天然の石を使っているそうです。 |
素焼きは土の化身「甍の波と雲の波、重なる波の中空を、橘かおる朝風に‥」、甍は釉薬を塗っていない素焼きのいぶし瓦です。いぶし瓦は雨が降るとやさしく体内に含み限界に達すると防水の役目に転じます。雨があがり、瓦が直射日光で熱せられると大気に水蒸気として放出し屋根の温度上昇を防ぎます。そして雲となり、橘にあらわされる植物を育み、都市の砂漠化を防ぎます。沖縄の赤瓦も素焼きですが沖縄の人は鉄筋の家に住んでいます。私たちは土壁とともに失ってしまいました。イタリアやドイツなどの瓦屋根は赤色、スペインや南フランスなどは黄色っぽい素焼きが多いそうです。レンガも素焼きに似た性質があります。 日本では最近、アスファルト舗装を透水性のあるものにしようという動きがあるようですが、ヨーロッパの石畳などにくらべると観光立国をめざし、おもてなしが叫ばれているものの何世代かの違いがあるようです。 下は青磁の茶杯、景徳鎮の高級品を扱っている店のもの。青磁の商品を手にとって見ていたとき、価格をたずねて恐る恐る棚にもどしたほど高価な品が多くあります。これに似た茶杯は見切り処分品で値下げのものを少数限定で仕入れています。 |
良い茶壺とはとても高価な品について、なぜ高いのかを尋ねると「良い土を使っている」からだと言う。かたちが特に気に入っているわけではないが、中国の協力者の家では厚肉で土の存在感があるその茶杯をなぜか使ってしまいます。青磁は釉薬の塗ってある表面にヒビが入り貫入と呼ばれる筋がはしります。この貫入のせいか内側の土が語りかけてくるのでしょうか。良い土とは不思議な力があるようです。 しばらく脱線しましたが、中国の協力者が青年実業家と同行して茶壺の店へいったとき、その実業家は有名な作家のとても綺麗な茶壺を買い価格もたいへん高価なものでした。 そのひとは、でも私はこれでいいのと言う茶壺を持っている。紫砂茶壺は上はきりがないが、このクラスから面白くなるというレベルがあります。そのところはあなたが持っていることなのです。 良い茶壺とは手にしたときに、軽く感じてなんとも言えない温かみがあって、ずっと手にしていたい感触があります。そして芯のある凛とした確かさがあります。これは前の項で表しました土と造りの確かさからくるものです。 |
美しい茶壺には棘がある‥? 堅い説明がつづきましたのでチョットふざけたタイトルにしてみました。 上のふたつの茶壺は似た西施壺で、左が朱泥 右は清水泥です。価格は同じくらいです。 茶壺の基本的な造りが同じくらいなら装飾のあるほうが高級感があるでしょう。形や土の雰囲気にもよりますが、装飾が消費者の好みに合えば装飾のあるほうが売れるように思います。 しかしチョットまってください。どちらが美味しく茶を淹れることができるのでしょうか? 「美しい茶壺には棘がある‥?」はこのことを言っているのです。同じくらいの価格が問題です。 美しい装飾にはそれだけコストがかかっています。おなじ価格ならばどこかで品質をけずっています。 土の質にしわ寄せがきているのです。 茶を美味しく淹れたり長く使って養壺の楽しみを期待するには無地の茶壺がおすすめです。 しかし、※3〜5割近く価格が高ければ土の質は同等と考えられますので、茶を美味しく茶を淹れたり長く使って養壺の楽しみにおいても同等と考られます。 (※3〜5割近く価格:日本での価格差は諸経費の占める分が大きいのでだいぶ圧縮されます。) |
紫砂泥料名称 | 摘要 | 推薦茶種 | 茶壺製品例 |
紫泥 |
単に紫砂とも呼ばれます。鉄質成分がわりに高い。 泥料の顆粒のわりに大きな特殊な二重の気孔構造を持ち、土の性質は伝温性・保温性が高く、茶を淹れるときの水温の保持に優位性があり飲茶の色・香り・味に直接影響力があります。使い込んで日が経つにつれて味わいの出てくる養壺の評価が最優秀です。 お茶をおいしく淹れることでの評価は高い。 鉱山区:江蘇宜興丁山黄龍山 |
軽発酵烏龍茶 プーアル茶各種 |
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朱泥 |
朱紅色できめ細かく柔らかくすべすべした砂感を備えています。 明快で活発に茶を淹れることができ、心地よく欲するままに甘く柔らかい茶湯に向きあえ、飲茶における評価は高いです。 泥性が重いため、成砂しにくく、時間と労力を必要とします。 趙庄山石黄朱泥 特紅朱泥 欄山朱泥などいずれも採掘が困難であったり、資源的に希少な傾向があります。 鉱山区:江蘇宜興市フク東郷、任墅趙庄山、黄龍山 |
軽発酵烏龍茶 鉄観音 台湾高山茶 プーアル茶生普 緑茶 (黄龍山原鉱朱泥) |
趙庄山石黄朱泥 |
黒鉄砂 |
鉄質成分がわりあい高い。 おいしくてお茶を入れる評価が高い。 使い込んで日が経つにつれて味わいの出てくる養壺の評価が高く、その意味で人気がある。 鉱山区:江蘇宜興丁山黄龍山 |
軽発酵烏龍茶 中発酵烏龍茶 (鉄観音など) 重発酵烏龍茶 プーアル茶各種 |
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清水泥 |
古風で質朴な雰囲気があり、長く使っていると骨董な味わい、安定性が高くて、成型するのは比較的容易です。 色調が上品、文人的で、作品はみな紫砂の風采と文才が現れます。消費者の評価が高く、初心者におすすめの泥料のひとつです。使い込んで紅潤な赤みが増し艶がでて古朴で荘重な味わいの出てくる養壺の評価が高く、飲茶での親和力が良く、温度を掌握するのが容易で、気楽に茶を淹れることができます、俗称、紅紫砂。 鉱山区:江蘇宜興丁山黄龍山 |
軽発酵烏龍茶 プーアル茶各種 紅茶 (花茶) (緑茶) 高温、低い温度 でも適応 |
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段泥 |
段泥は顆粒のわりに大きな特殊な二重の気孔構造を持ち、使い込んで日が経つにつれて味わいの出てくる養壺の評価が最優秀。おいしくお茶を淹れることの評価は特によろしいです。 旧式の窯炉で低い温度での焼成では黒い粒子がでますが、最近の窯炉では簡単に所定温度まで上がり高い結晶にいたり、黒い粒子はでないです。鉱山区:江蘇宜興丁山黄龍山 |
プーアル茶各種 中発酵烏龍茶 (鉄観音) 重発酵茶(黒茶類) 軽発酵烏龍茶 緑茶 紅茶 |
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特紅朱泥 |
酸化鉄を含んでいます、錬泥の過程で天然鉄紅粉を添加して赤色を増して窯焼後は真っ赤になります。泥質はきめ細かく密度は高く高結晶、容易においしくお茶を淹れることができ、お茶を淹れるにつれて色合いが良くなり赤みが増し、たいへん喜ばれます。 この種の泥料はとても稀有で、おいしくお茶を淹れることの評価は特によろしいです。鉱山区:宜興市フク東郷西面 |
軽発酵烏龍茶 中発酵烏龍茶 (鉄観音など) 重発酵烏龍茶 プーアル茶各種 |
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黒緑泥 |
紫砂泥配色のひとつ。酸化コバルト、酸化マンガンを使用して発色します。本山緑泥に紫砂色泥を配合します。焼成後に深緑色から黒緑色になり、人工的に少ない紫砂色泥を調合するもののひとつです。深緑泥の色の深さに応じ、酸化コバルト、酸化マンガンの量を決めます。しかし、本山緑泥は資源的に希少となり段泥などを配合したものが多いと推測されます。 | 軽発酵烏龍茶 |
緑泥左は緑泥の茶壺、緑豆砂泥と呼ばれ古雲の豆壁色の泥色は緑豆皮にとても似た若草色です。砂質は粒子が細かく清麗で素晴らしく誰もが楽しめます。紫砂泥はきめ細かく粒子の美感が素朴で茶壺の質感はすばらしいです。使い込んだ後にだんだんやさしい明るい色に変わっていき泥中の泥の称があります。しかし緑泥の生産高は少なく、泥質は茶を淹れることについても良い素質も持っているのですが石英の細かい成分が多く、これが水分を多く含むために乾燥時に抜ける水分のために収縮率が大きく、焼成時にヒビ割れる原因となります。また、細かい粒子が多いことはきめ細かい美しさはあるのですが、荒い粒子をまったく含んでいないと強度が保てないのです。 |
孫偉強 大気精美 宝蓮 (原鉱緑泥) |
黄龍山四号井本山緑泥(2004年3月27日) |
そのため、緑泥の作品は大きな茶壺は作れず小さなものが多く、小物の装飾品などが多いそうです。そして、緑泥の焼成の問題を改善するために他の泥料を配合する方法がとられたのです。
段泥とのつながり緑泥は他の紫砂泥に混ざって採掘されます。それらの紫砂泥が緑泥との配合に用いられます。その代表が段泥で、本山緑泥と段泥との配合の割合により色合いと雰囲気は千変万化します。段泥は大きい茶壺を作ることもできます。 |
緑泥の原鉱の色は淡黄色や青白色で茶との親和性が良く、緑茶の香りが特に良く口あたりが純粋という独特の泥性があります。緑泥は採掘の層により性質に系統があって、茶壺製作中の泥片の色が緑色であっても焼成後の色変化が大きく灰黄色や高温では青灰色になるものが多いです。 以上のことから純粋緑泥の茶壺はとても珍しいものだという宜興茶壺関係者もいます。緑泥の茶壺には原鉱、本山や両方の原鉱本山などを冠したものが多くあります。伝統の鉱山区が本山、代用として使われる他の鉱山区のことを外山呼びます。純粋な緑泥であると言いたいのでしょう。 |
馬景輝 本緑西施 (本山緑泥) |
黒緑泥の茶壺 (配合により色調は様々) |
化工泥特紅朱泥という泥料は錬泥の過程で天然鉄紅粉を加えて発色します。日本の陶器焼き物の常滑焼も※弁柄(酸化第二鉄)を混ぜてあの朱色を出します。黒緑泥は酸化コバルト、酸化マンガンを使用して発色したもので、融点はそれぞれ、1935℃ 1650℃、紫砂茶壺の焼成温度の1150℃ 前後に比べてきわめて高く、とても安定し茶湯にはぜったいに溶け出さない。そのことは茶の風味に影響しないことを意味します。 陶器の輸入検査ではカドミウム・鉛は実施していますがコバルト、マンガンは除外されています。景徳鎮青花瓷に使われるコバルトは世界的に評価されて久しいのに、なぜか日本では緑泥の茶壺についてのコメントがあるようです。 ここでの加工泥とは伝統的に確立された染付け技法についてのことです。宜興紫砂は単なる工業原料ではなく、熟成に時間をかけて醸成されることは先の項目で表しましたが、この泥料に安直なニセモノを使ったような茶壺は中国の茶壺専門店には無く、変わったところで売っているものでしょう。 ※弁柄(酸化第二鉄)ベンガラ:(Fe2O3)耐熱温度は約1200℃まで科学的に安定し、融点は1565℃ |
原料名称 | 化学成分 | 本山緑泥のTFe と Fe203 の含有率は他の泥料にくらべて極端に少なく、特異な成分の泥料であることが確認できます。 湖父低槽青は黄龍山の泥料ではなく宜興市南部のいわゆる外山です。成分分析では黄龍山のものにくらべて不純物が少し多いほか、その指標は近接しています。 しかし焼成後の茶壺の外観の潤いのある光沢は黄龍山のものには及びません。この潤いのある光沢は緑泥の特徴でもあります。 |
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TFe | Fe203 | TAI | AI203 | TSi | Si02 | |||
紫泥 | 6.222 | 8.895 | 4.418 | 9.145 | 36.26 | 77.59 | ||
老低槽青 | 8.670 | 12.380 | 7.370 | 15.250 | 27.98 | 59.87 | ||
中低槽青 | 7.892 | 11.270 | 5.560 | 11.50 | 28.08 | 60.11 | ||
嫩低槽青 | 6.986 | 9.980 | 5.645 | 11.68 | 33.30 | 71.25 | ||
本山緑泥 | 0.809 | 1.155 | 6.175 | 12.780 | 39.47 | 84.45 | ||
4号井低槽青 | 8.500 | 12.140 | 5.040 | 10.430 | 32.16 | 68.81 | ||
4号井紫泥 | 5.519 | 7.884 | 5.095 | 10.540 | 35.91 | 76.83 | ||
甲泥 | 5.905 | 8.475 | 6.655 | 13.775 | 36.90 | 79.03 | ||
湖父低槽青 | 7.635 | 10.900 | 4.735 | 9.801 | 31.78 | 68.01 |
2005年以降の黄龍山の鉱山はすでに採掘を禁止され、紫砂泥料の在庫は減少し外部から代用の紫砂泥料が使われるようになり、 一時的には粗悪品などの混乱もあったようですが、ここ数年、多くの省から紫砂土の発見の表明があり、低槽青の湖父のほか長興、建水、延安にも紫砂泥は産します。 しかしすべてが優良ではなく、浙江長興の陶土の化学分析では丁山黄龍山の紫砂泥と相違するところがあり、主に粘土中のAl2O3と赤鉄鉱の含有量がわりに低く、石英とその他の不純物の含有量は比較的に高く、焼成中にひびが入りやすく、使用中にもよくが亀裂広がったり通気性が悪く養壺に不向きな傾向がありました。 総じて言えば、鉱物の化学成分から見て、明確な善し悪しの標準は確定しにくく、現在ところ黄龍山の泥料は焼成において明らかに優位性があり、二次的に飲茶と色合いの変化や手触りなど茶壺として優れた特徴を備えており、科学理論も含めさらなる研究、試行が必要です。 しかし黄龍山以外の場所にまた似通ったあるいは同じ陶土もあって神秘性や珍蔵などをことさら誇張して高値である必要はないのです。黄龍山の原料に基き人々は数百年に及ぶ技術の進歩と世界的に稀な拍打成形法をして紫砂文化の重要な構成部分となり、文化と技術の伝承と消費者の希求があるかぎり未来は明るいと思えます。 |
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西施 張听剛老師刻絵 聞香識美人 (小)呉傑作品 原鉱低槽青 |
朱泥の土の茶壺は‥‥という噂はあるけれど その茶壺はほんとうに朱泥なのかしら‥‥ |
朱泥 |
清水泥 |
底槽清 |
1.大きさ 左の女性の手に乗っている茶壺のサイズは「φ65xH59xW101、容量 83ml、重量 81g」です。鉄観音などの烏龍茶を問香杯に約二杯分です。上質の烏龍茶は10煎くらいは楽しめますので一人用では小さいように見えますがこのサイズとなります。 左の画像の左側の茶壺のサイズは「φ75xH67x W109、重量 125g、容量 118mL」で聞香杯に約三杯分です。ガブ飲みするような烏龍茶を2〜3煎くらいで楽しむならこのサイズでしょう。烏龍茶でこれ以上のサイズはお茶会や客を招いたり職場などで多人数で使用するものとお考え下さい。1〜2煎でジャスミン茶・紅茶・プーアル茶などを時間をかけて淹れるときはもう少し大きいお好みのサイズの茶壺をお選び下さい。この場合は保温性を考えて重いものを選んでも良いでしょう。 |
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2..かたち 毎日使う茶壺は使いやすい茶壺を選びましょう。上の画像の茶壺はいずれも使いやすい茶壺ですが、女性は軽い茶壺を選びましょう。大きくなると湯を入れるとかなり重く感じます。出来れば100g以下が楽しく使えます。 茶葉を入れたり取り出しすのに蓋は大きい方が宜しいです。球形に近いことは熱を逃がさないだけでなく、底が丸く茶葉を入れたときに茶葉の量が分かりやすく、湯を入れたときに茶葉が動きやすいし茶葉を取り出しやすいのです。嘴は短いほうが普段は使いやすく、長いものはお茶会などで遠くの茶杯に注いだり茶芸的に美しく見せると映えます。 次に左の画像は「水平壺」と呼び、茶壺の蓋を取った形状が「嘴」・「蓋の穴」・「把」の三ヶ所が一直線になるものが使いやすい茶壺です。中国茶専門店以外の観光地などで購入するときは、時におかしな品がありますので気を付けて下さい。 |
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3.用途別 烏龍茶は湯が熱いほど良いので熱を逃がさない球形に近い茶壺が宜しいですが左の画像のような薄型の茶壺は低い温度の湯を使う緑茶に使用します。また低くて蓋の口が大きいので福建省の茶館では蓋のできる便利な茶海として使用している店もありました。 左の画像のような磁器製の茶壺は香りが茶壺に付かないので香りの強い茶「普耳茶(プーアル茶)・花茶」などに使います。普通の茶壺に香りの強い茶を淹れるときは専用にしましょう。 |
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2.茶盤の選び方 |
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1.竹茶盤 日本で竹茶盤と言えば左の品を連想されるようです。国内の茶館や中国茶の店でもよく取り扱っています。長所は受け皿が無くシンプルな構造のために高さが低くムードがあることで茶館などで使われるようです。短所は接合された自然素材の竹が湯の受け皿となるために手入れが欠かせず耐久性も個体差が大きいです。烏龍茶の消費地の福建省ではあまり売れていない品です。 |
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2.木製茶盤 湯の受け皿を茶盤の下部に仕込んである構造です。長所は受け皿が樹脂製やステンレス製であるため耐久性があり手入れが楽です。烏龍茶の消費地の福建省では一般的な品です。二重構造となるために高さがやや高くなりますが良いデザインのものを選びましょう。 |
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3.竹茶盤(パイプ排水式) 左の画像は中国の普通の家の居間です。小型のテーブルにお客さまに茶を出すために茶盤を出しているところです。ビニールパイプでテーブル下のペットボトルなどに排水する竹茶盤は最も薄くてテーブルに置いた時にとても雰囲気があります。やや大きく感じられますがお茶会などでは落ち着きがあります。薄いので収納時も工夫しだいで置き場所も出来ます。そして堅牢な一枚構造で耐久性があります。 |
圧縮強さ(kgf/cm2) | 曲げ強さ(kgf/cm2) | 比重 | ワンポイント | |
ヒノキ(桧) | 400 | 750 | 0.44 | 日本の優秀建材 |
モウソウチク(孟宗竹) | 780 | 1440 | 0.63 | 竹茶盤の材料 |
菠蘿格 | 755 | 1433 | 0.85 | 高級家具・室内装飾・高耐久構造材 |
カリン(花梨) | 535 | 860 | 0.55 | 中国では紅木 マホガニー類に分類 |
コクタン(黒檀) | 996 | 1936 | 1.0 |
竹茶盤は竹の優れた性質のヒノキ(桧)などの並の木材の倍近い強度があることから竹を材料として使われます。しかしながら、下左の画像のように集成材という小さい材料を寄せ合わせた材料です。木材と違って細い竹から材料取りをする宿命です。 3〜5年で成木として利用される竹は樹齢数百年の成長はきわめて遅く、虫も食わないが釘が使えず100年腐らないという紅木(マホガニー類)の原木茶盤に見られる年月を経ても感じられる落ち着きとは本質的に異なります。 また中国政府が資源流出を防ぐために木材の種類によっては輸出規制をしているので日本では竹茶盤が多く売られているのかも知れません。 しかし福建省の大きな店では同じサイズなら紅木(マホガニー類)の原木茶盤は竹茶盤の10倍くらいの価格で、竹茶盤は探しても見つからないくらい数も少なく携帯用の簡便な茶盤という位置にあります。 竹茶盤も下右の写真のように茶盤の製作技術により竹材料の人工的な部分を上手く処理して上品に仕上げているものもあります。 竹茶盤を購入するときはこのような技術のレベルが選定のポイントとなるでしょう。 合理的な意味から材料の価格か加工の手間にかける価格かを見抜くかの違いでしょう。 竹は表面処理をいくら丁寧にしても繊維が荒く、限界のある材料です。 原木茶盤はまな板と同じでで古くなれば一皮むけば良いのです。 コクタン(黒檀)などはきわめて硬いので、その必要もないかわり、硬いものにぶつけて割れがはいる心配をするべきです。 |
花梨原木茶盤 黒檀原木茶盤 |
中国茶 相高茶荘 |
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