6.緑茶の製造工程 中国茶の講座 中国六大茶

緑茶は「六大茶」中では最も製造過程が単純化されて、下記のような三工程からなっています。

殺青 ⇒萎凋 ⇒乾燥

緑茶の炒青緑茶は無発酵茶でありますので摘まれた茶葉は、
直ぐに殺青の工程に入れられ発酵が止められます。
この殺青と言われる熱処理に炒青・こう青・蒸青・晒青があることは前述しました。

次に揉捻の工程で茶葉はその成分がより抽出し易いように揉まれますが、この工程の違いにより、製茶後の茶葉の姿が長く捩れたり、丸い粒状になったり、扁平な姿に成型されます。

この後乾燥させることで製造工程は終了しますが、たった三工程の製造工程が、緑茶の種類で色々工夫されています。
その例を告ぎに挙げます。
炒青
浙江省 応煥旗 撮影
碧螺春の工程
杭州の龍井茶と並び、中国の二大緑茶と言われる蘇州の碧螺春の製造工程は、前述した三工程の通りですが、碧螺春の場合は一人の職人が、一つの炒り釜で連続的に三工程をこなして行きます。
このため「茶」の出来の良し悪しは、一人の職人の技能のみに掛かってきます。
職人芸という表現が将に当てはまります。

この碧螺春というお茶を初めて見られると粉か、悪く言えば埃のように見えます。
これはこのお茶が全て芽から造られているためで、その芽の数は五百gに六千〜七万個あるとされています。このお茶の高い香りは、清代康熙帝の時代までは「嚇殺人香」と名付けられていたと言われる程です。
この名を雅でないとして、碧螺春の名を与えたのは蘇州に南巡した康熙帝だとの伝承も持ったお茶です。

廬山雲霧茶の工程
人によれば廬山雲霧茶は漢代からあったと言われる程、長い伝統を持っているお茶です。
このお茶は青茶の製法上の特徴である萎凋を、その製造工程に含んでいることです。

1.做青 ⇒2.炒青 ⇒3.揉捻 ⇒4.復炒 ⇒5.乾燥

摘まれた茶葉は日本緑茶のように殺青せれず、風通しの良い室内で萎凋(做青)されます。
この工程は気象条件にも影響される難しい勘所を必要とする作業です。
目的は雲霧茶独特の「くちなしの花」や蜜柑の香りを発生させることにあります。
このため青茶のように発酵を目的とした萎凋でないことは明白です。
次に斜めに立て掛けたような炒り釜で、三〜五分の間、160〜180℃の温度で殺青されます。

次の工程は揉捻ですが、一旦冷却してから普及品は揉捻機を使用し、高級品は手揉みされます。
この後さらに釜で炒る復炒の工程があり、最後に乾燥されます。
文章で書けば簡単ですが、この製造工程が丁寧に念入りに行われていることは、仕上がった茶葉の暗緑色のシラスのような姿を見てても、十分に想像できます。

緑茶の茶摘
青茶の項で青茶の茶摘は「開面採」ですと説明しました。ここでは緑茶の茶摘について説明しましょう。
緑茶の風味の特徴は爽やかさです。
このため青茶が芳醇さを求めて、熟成した茶葉を摘むのに対して、芽や若葉を摘むことが原則になります。

「碧螺春」や「龍井茶」等の高級茶は「葉の芽」とその直ぐ下の「葉」だけを摘み、これを「一心一葉」で摘むといいます。
「一心一葉」でも芽の先に白い産毛の残っているものを「白毫」や「毛峰」と言い区別して呼ぶこともあります。
次ランクは紅茶でよく言われる「一心二葉と」なり、「一心三葉」が続きます。
その後は芽を摘まない「葉」だけとなります。
中国では「一心一葉」を「旗槍」。「一心二葉」を「雀舌」。「一心三葉」を「鷹爪」と固有の名称で呼んだり、
「一槍一旗」や「一心三旗」という風に呼ぶ場合があります。
緑茶の茶摘
緑茶は葉の摘み方と同様に、茶葉を摘む時期によってグレードが分かれます。
一般的に言えば摘む時期が早い程高品質のお茶となります。
しかし産地によれば年間に二〜三回茶摘を行いますので、これも一概に決め付けることは出来ませんが、同一の製造時期であれば、やはり早く摘まれた茶葉が高級品とされます。

春に摘む「春茶」を例に取ると、春分の日から、中国の「二十四節季」の一つ「清明節」(4月5日〜6日)の前までに摘むことを「明前」と言い、最高のランクとされます。
それ以降、「穀雨節」(4月20日前後)までに摘むことを雨前トランクし次ランクとされます。
その後は「雨後」と続きます。
このように緑茶は葉の摘み方や摘む時期により、同一の銘柄が細かくランク分けされています。

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