5.緑茶 中国茶の講座 中国六大茶

日本人が日常飲んでいるお茶が緑茶ですので馴染みが深く、中国茶に入門するにはよい切り口と思われ勝ちですが、緑茶の風味の違いからあまり日本人に中国緑茶が好まれることは少ないものです。
しかし、そこはお茶の故郷「中国」です。
きっと貴方好みの緑茶もあります。
腰を据えて味わってみましょう。

緑茶は「六大茶」の中では最も歴史が古く、それだけ銘茶と言われるものも数多くあります。
それらを殺青方法で区分して説明してみましょう。
青茶の項で記述した通り殺青は醗酵を止めるための熱処理のことです。
その殺青の種類も青茶と同じく、炒青・蒸青・こう青・晒青の四種類があります。

炒青緑茶
炒青緑茶を日本流に言えば「釜炒り緑茶」となります。
中国では最も一般的な製法ですが我国では例外的製法で佐賀県の嬉野茶や熊本・宮崎両県の青柳茶等が代表例です。

緑茶は殺青方法で風味が大きく変わるため、炒青緑茶の多い中国緑茶が不評である理由はこの辺にあるようです。
釜で炒って殺青される炒青緑茶は仕上げられる茶葉の形状によって、長炒青・円炒青・扁炒青に分けられます。

長炒青
長炒青はよじれた棒状に仕上げられたお茶で、代表的銘柄としては「眉茶」があります。
名前の通り眉のような姿をしている処からこの名があります。
安徽・浙江・江西三省が主産地です。

製品名は産地により、安徽省は「屯緑眉茶」や「舒緑眉茶」、浙江省は「遂緑眉茶」とか「杭緑眉茶」、江西省は「ぶ緑眉茶」や「曉緑眉茶」と呼ばれています。
浙江省の茶産地 西湖龍井茶園

早春二月(西湖龍井茶園)
浙江省杭州市 唐鋒 撮影

炒新茶

街頭炒新茶, 市民品新茶
江蘇省 劉克林 撮影
これ以外に湖南省の「湘緑眉茶」、湖北省の「鄂緑眉茶」、貴州省の「黔緑眉茶」も有名です。
またこの区分にはいる「特殊緑茶」(高級銘柄茶として中国で区分される)としては四川省の「蒙頂茶」、江西省の「廬山雲霧」・「ぶ源銘茶」、河南省の「信陽毛尖」、貴州省の「都塩ム尖」、安徽省の「六安瓜片」などがあります。
最も早くヨーロッパに輸出されたお茶はこのタイプで、現在でもモロッコやアルジェリアで好まれます。

円炒青

円く粒状に揉捻される円炒青は真珠に例えられ「珠茶」とも言われます。
浙江省の紹與や奉化を含む「水平茶区」の特産で、一般には「水平珠茶」とよばれています。
この種のお茶が初めてヨーロッパに輸出されたときは、コングー(貢熙)とかパウダーと呼ばれ、「武夷岩茶」と並んで高級品として扱われました。

扁炒青
平たく押し潰したよな姿に仕上げられたお茶です。
中国で茶の中では最も有名な杭州の「龍井茶」がこれにあたります。
当然「龍井茶」は「特殊緑茶」です。
これ以外には安徽省の「老竹大方」や「天柱剣毫」などがこれにふくまれます。

こう青緑茶
火で炙って殺青する緑茶をこう青緑茶と言います。
産地は中国全土にありますが、主産地は浙江・安徽・福建・湖北・湖南の各省です。
とくに安徽省南部と浙江省西部一帯が良質の産地と言われています。

このこう青緑茶は香りの吸着性がよく、「花茶」再加工原料として利用されることが多く、日本人にも馴染み深いジャスミン茶等にも使われています。
再加工用以外の高級品には「特殊こう青緑茶」に含まれる、安徽省の「黄山毛峰」・「太平耕猴魁」、浙江省の「雁蕩玉露」があります。

晒青緑茶

日光で殺青する晒青緑茶は、中国西南各省が主産地ですが、多くの場合乾燥も同様の日光で行うため、特殊な風味となり、主産地の人々にしか好まれていないのが現実です。

四川省の晒青緑茶を「川貴」、貴州省のものを「黔青」といいます。
後述しますが「黒茶」でレンガ状やお碗状に緊圧した、磚茶(せんちゃ)や陀茶はこれら晒青緑茶を原料として、湿らせることで「後醗酵」を促して製品化しています。

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