9.黒茶中国茶の講座 中国六大茶

「黒茶」は茶葉の自然発酵を殺青によって止め、後に醗酵菌の作用で発酵させるものです。
このため黒茶は後発酵茶とされます。

一般的に黒茶イコール普耳茶(プーアル茶)と決め付けられますが、「黒茶」には広西クワンチ自治区の「六堡茶」というものも含まれます。

お茶は通常は新茶が好まれるように、新しいお茶の価値が高いものですが、「黒茶」だけは「陳茶」といわれる、製造してから長期間ねかせたものが尊ばれますが、現在では需要が多く長期間熟成させる余裕が少ないのが現実のようです。

また「黒茶」の特徴として色々の形に再加工される場合が多く、六大茶の他の種類のように、茶葉のままで製品化されているものは少数派で、レンガ状やお碗状に加工され固形茶として商品化されているものが大部分です。

近年日本でも、海外旅行先の香港等の「飲茶」で普耳茶の味を覚えた人も多く、またダイエットに効果があるとの風評などで、普耳茶の愛好家も多くなっています。

最近ではペットボトルや缶入りでもこのお茶が販売されるようになり、個性的な普耳茶も一般化されています。
普耳茶郷風情
普耳茶郷風情-ワ族茶舞 雲南省 姜定忠 撮影

雲南普耳茶 黒茶 プーアル茶
普耳茶郷ラフ族菜茶 雲南省 姜定忠 撮影

10. 黒茶の製造工程 中国茶の講座 中国六大茶

「黒茶」の製造工程は一般的に下記のように説明されています。
しかし前述したように「毛茶」とよばれる、「緑茶」の半製品を原料として使用する「黒茶」もあるため、各製品によって製造工程の詳細は異なっていると思われますが、残念なことに各種書籍等には記載されていませんので、個々の工程の詳細は説明できません。

一般的に説明される「黒茶」の製造工程
             
            萎凋 ⇒ 揉捻 ⇒ 醗酵 ⇒ こう青
しかし、このような工程で説明できるのは「散茶」(葉茶)だけではないでしょうか。
なぜなら後発酵工程の渥堆の後、復揉からこう青に掛けて茶葉は乾燥を続けます。
従ってこれで製品化された「黒茶」は、祭度加熱と加湿しない限り、一定の形に緊圧して「固形茶」に加工することは出来ないことになります。
ですからこの工程で「黒茶」としての「餅茶」や「沱茶」が出来る訳ではありません。
これはあくまでも「黒茶」そのものを造る工程と考えてください。

「黒茶」の固形茶の製造工程

炒青緑茶
晒青緑茶
蒸気加熱
蒸気加湿
⇒ 柔捻 ⇒ 渥堆 ⇒ 成型





ろう装の「黒茶」の製造工程

炒青緑茶
晒青緑茶
蒸気加熱
蒸気加湿
⇒ 柔捻 ⇒ 成型 ⇒ 後醗酵





現在の「黒茶」の製造工程は、上記のように「緑茶」を原料としています。
一旦製品化されたものを再度蒸して柔らかくし、麻袋に入れて足で踏みほぐした後、各種の形にプレス成型して、「固形茶」に仕上げます。
また成型せずに、蒸した茶葉を熱い内に竹籠に詰めて密封して製品化し、寝かせて熟成させる間に後発酵させる「ろう装」といわれる商品もあります。

最後に孔祥林氏の著書に記載されている「唐代」の「普耳茶」の原料となっていた「蒸青緑茶」の製造工程を参考に記載しますので、これから現代の「普耳茶」がどのように進化したかを想像してみてください。
「黒茶」の「謎」が貴方によって解かれると、ひょっとするとノーベル賞が貴方に……ソンナコトハ、タブン、ナイデショウ…

「唐代」における「普耳茶」の原料緑茶の製造工程

    蒸青 ⇒ 柔捻 ⇒ 風干 ⇒ 復揉 ⇒ 晒干

このようにして製品化した緑茶を、蒸圧成形したものが雲南緊圧茶であったそうです。


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