3.青茶 中国茶の講座 中国六大茶

青茶はわが国では一般的に「ウーロン茶」と呼び習わされていますが、「ウーロン茶」は台湾の青茶の一種類で、「烏龍品種」の茶ノ木から作られる「烏龍茶」のことです。
中国茶の総称でもなければ、青茶の総称でもありません。
青茶は半醗酵茶で、古くからの生産地は福建省と広東省で、宗の時代より製造が始められたとされています。

近年は台湾で品種や改良が加えられたため、台湾も新たな生産地となっています。
最も古い青茶として有名なものは福建省は武夷山の「武夷岩茶」があります。
これは「げん茶」と俗称されるもので、その意味は茶の湯の色(水色)と味や香りが濃いことを指しています。

これらのお茶が明末清初にヨーロッパに輸出されて大好評を博しことは、紅茶の呼び名として「ボビー」や「ボヘア」として現在にも伝わっています。
これらの名は「武夷岩茶」の武夷が訛ったものです。

福建省の青茶
福建省は別称「びん」と呼びます。このため福建省の青茶は、びん北青茶とびん南青茶に大別されます。
びん北青茶として有名なものには「大紅袍」(だいこうほう)がありますが、天然記念物のような「茶の木」から作られる特別なもので、中国の国賓に供されるものです。

これに対して市場に出回っている「大紅袍」は本物の「茶の木」から挿し木で栽培されていますので、厳密には本物の「大紅袍」とは区分しなければなりません。
この「大紅袍」を筆頭として、「白鶏冠」(はっけいかん)・「水金亀」(すいきんき)・「鉄羅漢」(てつらはん)を加えたものが、「武夷の四大岩茶」と呼ばれる有名銘茶です。

本来「岩茶」とは「武夷山自然風景区」の九曲渓・三十六峰・九十九岩の景勝の中で、岩にしがみ着くように生えている茶樹から造られるためにこの名があります。

このため現在でも生産量は少ないものと考える必要があります。
岩茶の風味の特徴は薫りや味の濃いことと、「岩韻」(がんいん)と言われる岩茶独特の飲み後の甘い残香がありますが、これを芳香と取るかクセと取るかは、個人の好みで分かれる処です。

びん南青茶の代表は福建省の南部、厦門市(あもいし)の北にある安渓県(あんけいけん)で造られる安渓鉄観音です。
この「お茶」の特徴は蘭の香りと、飲み口が苦くそれが次の瞬間に甘みに変わることで、「岩茶」の「岩韻」(がんいん)に対して、「音韻」と称されています。
また茶葉に「起霜」と言われる白い斑点があることと、引き締まった螺旋形の球状の姿をしていることが挙げられます。

広東省の青茶
広東省の青茶で有名な銘茶に鳳凰水仙があります。
この鳳凰とは広東省の東部、福建省に近い潮州市にある鳳凰山で造られる水仙品種の青茶です。

この水仙品種は大衆的で経済的なお茶として、広東省だけでなく福建省等でも栽培されているお茶です。
元々はびん北が原産と言われている。

この鳳凰水仙の中でも潮州市鳳凰卿鳥らい山原産の「鳳凰単叢」は高級品として名高い。
「単叢」とは一株単位で栽培され、その株から製茶されるという意味です。マスカットのような香りと、苦味の少ない風味とされている。

「鳳凰単叢」はその名で商品として販売されているだけでなく風味の違いを強調するために「黄枝香」・「通天香」・「蜜蘭香」等の茶銘で商品化されています。

また潮州市は現代の中国茶の作法として有名な工夫茶の発祥の地です。
同じ広東省「万古坪」は烏龍茶の原型に近いものとされる。

台湾の青茶
中国茶といえば「ウーロン茶」と言われ、ウーロン茶といえば「凍頂烏龍茶」の名が出るほど、台湾の青茶として「凍頂烏龍茶」の存在は有名です。

凍頂山は台中県の中心都市、台中市の南の南投市にあります。海抜八百から九百米の高地にあり、年間平均気温20℃、年間平均降水量二千五百ミリで、霧がよく発生し、茶の栽培には好適地とされています。
福建省の茶産地 武夷山

春到茶山
福建省武夷山市 鄭友格 撮影


武夷岩茶 大紅袍

武夷名茶――大紅袍
福建省武夷山市 鄭友格 撮影


広東省の茶産地

春満茶園
広東省興寧 鐘国杉 撮影




台湾凍頂茶園一景
台湾台北 駱崇賢
また台北県台北市郊外の文山地区で造られる「文山包種茶」も醗酵度の低い、緑茶に近い飲み口の青茶として有名です。
この「包種茶」とは色々な品種の茶葉をブレンドしたものという意味です。

このほか「安渓鉄観音」と同じ名の「台湾鉄観音」という茶もありますが、これは鉄観音品種の茶葉でなく、製法も多少異なるようです。
それより近年の台湾では「四季春品種」や「金萱品種」の新しい茶が商品化されています。
中国茶として日本に輸入される量も多く、一般的中国茶より日本人好みの味と安定した品質が魅力でしょう。

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