15.花茶 中国茶の講座 中国六大茶

お茶は吸着性が高く、保存場所が悪いと直ぐにイヤな臭いを吸着させ、風味を台無しにすることもあります。
この性質を利用して芳しい花の香りを着けたものが「花茶」です。

香りに敏感な中国の人々が「お茶」に香りを着けて楽しむことには古い歴史があると思われます。
しかし、それらは自家用としてや、皇帝や貴族の趣味の世界で行われたことで、商品として開発されたのは「清朝」第九皇帝の感豊帝の時代です。

当時の貴族や金持ちの間では「嗅ぎ煙草」が愛用されており、北京の「汪正大商号」という煙草屋さんが煙草に香りを着けることを思いつき、煙草を福建省の長楽県に送って加工させて、販売した処「大人気」の「大儲け」、これを横目でみていた御茶屋さんが「花茶」を発案したのです。

今風で言うと販売促進が目的の商品開発ですから、最初は安物の緑茶を加工して「一儲け」を企みました。
(失礼…)同じ柳の下にはドジョウは二匹居ないものですが、北京には居ました。
今では華北を中心に需要も高く、中国茶の代表選手にまで成長しました。
当然現在では高級茶葉を使った「高級花茶」も多種多様に生産されています。

「花茶」といえば「ジャスミン茶」と言われる程、「ジャスミン茶」は「花茶」の代表選手(代表選手って言葉、さっきも使ったってもう…じゃァオリンピック選手でどう…)「茉莉」・「大花茉莉」・「白花茉莉」・の三種で、この内「花茶」に使われるのは「茉莉」ですが、これにも約60種類もの品種があります。

しかし、「花茶」に使用するときはそれ程細分せず、花弁が単層に「単弁茉莉」、複層の「双弁茉莉」・多層の「多弁茉莉」に分けるだけです。
この内殆ど「双弁茉莉」が使われ、「単弁茉莉」は福建省の長楽県、「多弁茉莉」は四川省で少量が生産されています。
生産地は生産量順に福建・広東・台湾・浙江・江蘇・四川…となります。
ジャスミンの花 茉莉花
ジャスミンの花 茉莉花

ジャスミン茶の有機茶園
取引農場の有機茶園  標高700m
16.花茶の製造工程 中国茶の講座 中国六大茶
「花茶」は製品となった「お茶」に花の香りをつけるものですので、原料となる「お茶」の製造工程は省略します。
まずジャスミン茶を例としての花摘みですが、開いた花を摘むのではなく、摘んだ当日の夜に開花するように時期を調節します。

花と茶葉の用意が出来ると香りを吸着させる工程に入ります。この工程を「くん花」といい、
最後に新鮮な花を混入する工程を「提花」といいます。

「一級ジャスミン茶」では「三くん一提」、最高級品では「七くん一提」となります。
花と茶葉を交互六〜七層積み重ね、花の呼吸熱で全体が45℃になると「攤涼」し、これで「一くん」となります。

一時間ほど冷却すると再度積重ね、次の「くん花」の工程に入ります。
所定の「くん花」が完了すると、篩で花を取り除き、「こう焙」してから「乾燥」します。
最後に「提花」を行って製造過程を終了します。

一級ジャスミン茶の製造工程(三くん一提の場合)

くん花 ⇒涼 ⇒くん花涼 ⇒ くん花 ⇒ 分離 ⇒ こう焙 ⇒ 乾燥

原料となる「緑茶」は「炒青緑茶」より「こう青緑茶」の方が多いのです。
これは「こう青緑茶」が吸着力が高いためで、「花茶」の特色である香り着けの効果がより明確に現れるからです。
長い間「六大茶」+1にお付き合いくださって、ありがとうございます。

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