8.紅茶の製造工程 中国茶の講座 中国六大茶

紅茶の一般的な製造工程は下記のようになります。
青茶の製造工程との違いは、青茶にある殺青がなく、青茶にない発酵の工程が加えられています。
殺青は萎凋の段階から徐々に始まる茶葉の自然発酵を、熱処理によって止める工程ですが、これが紅茶にはありませんが、紅茶にはわざわざ発酵工程が設けられています。
これが青茶の半発酵と紅茶の発酵の大きな違いですし、紅茶が青茶から分化したものとされる処です。

               殺青 ⇒ 初捻 ⇒ 渥堆 ⇒ 復揉

工夫紅茶の製造工程
「工夫紅茶」の工程は「祁門紅茶」も「てん紅」もその他の銘柄も基本的には同じです。
また上記の一般的な紅茶の製造工程とも大差はありません。
ここでは陳椽教授編纂の「製茶学」から、工夫紅茶の製造工程を説明します。

第一段階の工程の萎凋は萎凋槽萎凋という半機械式の萎凋と、日光萎凋と室内自然萎凋の三種類があり、萎凋槽萎凋以外は自然条件下のコントロールが難しく、現在は萎凋槽萎凋が主流となっています。
第二段階の揉捻工程は機械化され、一度に150kg程度を揉捻機に投入し、三回に分けて一度に30分づつ揉捻されます。
この揉捻工程の間に加圧減圧が繰り返され、最後に固まった茶葉を解きほぐし工程を終わります。

第三段階は「工夫紅茶」にとって最も重要な醗酵です。
醗酵には温度・湿度・通気が三大要素となります。
とくに通気は茶葉を広げて積む厚みで調整します。
通常は八〜十二センチで二〜三時間程度です。
最終段階の乾燥は「毛火」と「足火」の二工程に分けて行います。
最初の「毛火」は110〜120℃で10〜15分。
これが済むと40分程度冷却し、「足火」は85〜95℃で15〜20分。これで荒茶(毛茶)の出来上がりです。
この後選別を行い、最後に補火(火入れ)して製品となりす。

小種紅茶の製造工程
「小種紅茶」も製茶学に則って説明します。
第一段階の萎凋は室内温室加温萎凋が原則となります。
これは産地の星村一帯の五月上旬の気候が雨が多いからで、補完的に日光萎凋も行われますが、これは熟練した技能が要求されます。
室内の萎凋室は小枝で棚のように仕切られ、広げられた茶葉の上に莚を掛け、下から加熱します。
このとき煙が直接茶葉に触れることが大切とされます。
28〜30℃の室温を保ち10〜20分毎にかき混ぜ、均一に萎凋が進むように配慮します。

第二段階の揉捻は揉捻機で40〜90分間行う。このとき途中で一度塊を解すため機械をとめます。
第三段階の発酵は「小種紅茶」の場合「転色」と言います。
籠に30〜40センチの厚みに茶葉を詰め込み、中心部分に穴を明けることで通気を確保し、茶葉の上から湿った布を被せて五〜六時間発酵させます。
このとき気象条件で温度が低いときは加熱します。
発酵は茶葉が8割程度褐色になり茶の香りが立ってと完成です。

第四段階は「小種紅茶」の工程の最も特徴とする処で、青茶の「炒青」当たる「過紅鍋」です。
200℃に保たれた釜煙で二〜三分間炒めるように熱処理します。
これにより「転色」(発酵)が止められ、茶葉は柔らかくなり次の再揉捻の準備が出来上がります。

第五段階は「復揉」の工程で五〜六分間揉捻される。
第六段階は「過紅鍋」と並ぶ「小種紅茶」の製造過程の特徴で「薫焙」という乾燥と燻製を合わせたような工程です。
これは八〜十二時間も掛かる作業で、松ノ木で燻して乾燥させます。
このため「小種紅茶」は茶葉の色が濃いことも特徴です。

第六段階は「復火」と言われる最終の火入れで、出荷前に行われ茶葉の含水率を八%以下に落とします。
この「小種紅茶」では「転色」という発酵の後に直ぐ発酵を止める「過紅鍋」(炒青)の工程があります。
これは「炒青」により濃厚な味を求めて、念入りに発酵させた名残りではないでしょうか。
ではなぜ松ノ木で「燻焙」するのか、これはあくまで小生の想像ですが、お茶を愛好した中国の文人の影響ではないでしょうか。

文人が使う「文房四室」の中に「墨」があります。
安徽省で造られる「墨」の名品の「徽墨」は松ノ木から採る「煤」で製墨され、香りが良いことで有名です。
もし濃い味の良いお茶が出来たとして、そのお茶に何かしら発酵臭のようなものがあったとしたら、それを当時の人々が嫌うとすれば、臭いを消す方法として「徽墨」に習って松ノ木で燻すことを、文人がヒントとして製茶職人に教え、職人は努力して「薫焙」の方法を考え出したとすれば楽しいことではありませんか。
(別に面白くないって、じゃあ勝手にして)
紅茶の茶摘紅茶の茶摘
現在日本で入手できる中国紅茶の殆んどがブロークンタイプであるため、中国紅茶の茶摘方法は不明です。
しかし「工夫紅茶」や「小種紅茶」が青茶からの伝統をひいているとすれば、「開面採」で茶摘されていると想像できます。

また「紅碎紅茶」であれば、ダージリンやアッサム紅茶と同じ国際的なグレードに従って茶摘されていることになります。
ここでは参考までに紅茶の国際的グレードを解説しましょう。

右の図は茶図の一枝を示しています。
その枝の葉の名称の説明です。
一番枝先の若芽の部分を花橙黄白毫と言い、
英名をFlowery Orange Pekoeとされます。
つまり白い産毛のある若芽のことです。

つぎの葉が橙黄白毫Orange Pekoe(OP)です。FOPと同じ若芽ですが白い産毛がありません。
三葉目が若芽でPekoeといわれます。

紅茶は一般的に一心二葉で摘まれますので、茶坊主君が切ろうとしている位置でカットされます。
誤解しやすいのですが、一心二葉で摘まれた茶葉の先端が花橙黄白毫であればFOP、白い産毛が無ければOPと覚えてください。
FOP以上のグレードとしてFinest Tippy Golden Flowery
Orange Pekoe(FTGFOP)Tippy Golden Flowery Orange Pekoe(TGFOP)といわれる最上級グレードもあります。
また若芽を含まない茶葉としてPekoe SouchongSouchongがあります。
またこれら英名にBrokentが含まれるときは、ブロークンタイプ(細かく切り刻まれた)の紅茶です。

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